妊娠糖尿病って何?なりやすい人・母体、胎児への影響・治療法について

妊娠

妊娠中気を付けなければいけない病気の中に、妊娠糖尿病と妊娠高血圧症候群があります。
ここでは妊娠糖尿病についてご紹介していきます。

妊娠糖尿病とは?

妊娠中に初めて確認された糖代謝異常のことを妊娠糖尿病といいます。

妊娠前から糖尿病であったり、妊娠中に明らかな糖尿病と診断された場合は妊娠糖尿病に含まれません。

既に糖尿病の人は妊娠糖尿病より重度の状態になり、血糖をより厳密に管理する必要があるため、妊娠を希望する際は医師の指導のもと計画的に妊娠することが大切になります

 

妊娠糖尿病になる原因とは?

膵臓で作られるインスリンというホルモンは、妊娠すると胎盤からでるホルモンの働きでインスリンの働きが抑えられたり、インスリンを壊す働きの酵素がでるため量や働きが不十分となり血糖の調節が難しくなるため、妊娠していない時と比べてインスリンが効きにくい状態になり、血糖値が上がりやすくなります。

 

 

妊娠糖尿病の検査と診断方法

尿検査

定期健診の際の尿検査にて尿中の糖分を調べます。

血液中の糖濃度が約160~180mg/dlを超えると再吸収しきれなくなり尿中に糖が漏れ出ます。

尿検査では陰性(-)要注意(+)異常(±)の三種類の値があります。

この検査で要注意や異常の値が出た場合は、血液検査またはブドウ糖負荷検査へと進みます。

 

血液検査

定期健診の際の血液検査にて血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエイワンシー)の値を調べます。

基本空腹時での検査になり、空腹時の血糖値が妊娠中の場合100mg/dl、HbA1cの値が6.5%を超えていた場合、妊娠糖尿病が疑われブドウ糖負荷検査へと進みます。

 

HbA1cとは

赤血球の成分ヘモグロビンにブドウ糖が結合したもので、過去1~2か月間の血糖値が高かったことを示します。

健康な人の値は4.3~5.8%とされています。

 

ブドウ糖負荷検査

糖分の入った検査用のジュースを飲んで血糖値を検査します。

空腹時、30分後、1時間後、2時間後と計4回血液を採取し血糖値の状態を確認します。

※血液採取の回数は医師の判断によって変わります

 

ブドウ糖負荷検査の妊娠糖尿病診断基準
75gブドウ糖負荷試験
空腹時の血糖値 92mg/dl以上
1時間後の血糖値          180mg/dl以上
2時間後の血糖値 153mg/dl以上

 

空腹時の血糖値、1時間後の血糖値、2時間後の血糖値の内、1つでも当てはまる場合は妊娠糖尿病と診断されます。

 

 

母体への影響

妊娠中に妊娠糖尿病になると以下の様な合併症が起こる可能性があります。

・妊娠高血圧症候群

・羊水量異常

・流産、早産

・肩甲難産

・網膜症

・腎症

 

胎児への影響

母体が高血糖になると胎児も高血糖になります。

その為以下の様なさまざまな合併症が起こる可能性があります。

・形態異常

・巨大児

・心臓肥大

・低血糖

・多血症

・電解質異常

・黄疸

・胎児死亡

その他、将来子供が大人になった際、肥満や生活習慣病になる可能性が高まります。

 

妊娠糖尿病になりやすい人

・高齢妊娠(35歳以上)

・多胎児妊娠

・家族に糖尿病患者がいる人

・肥満

・妊娠高血圧症候群

 

妊娠糖尿病の疑いがあった場合

内分泌代謝内科を受診し、妊娠中の血糖値をコントロールするため、血糖値測定器を使用し血糖値を測定します。

測定日や1日の測定回数は医師の判断で決まります。

 

血糖値測定で必要な物

血糖値測定器(血糖値測定器は病院で貸し出ししてくれます。病院によっては無料で貸し出ししてくれます。)

血糖値測定に使用するセンサー

アルコール綿

採血用穿刺器具(血液を採取する時に使用する器具)と

 

妊娠糖尿病と診断されても治療行為となるインスリンを使用するまでは、血糖値測定に必要なキットは3割負担ではなく全額自己負担となります。

 

血糖値測定キットの価格

センサー 30枚約3,000円(税抜)

(血糖値測定器の種類により使用できるセンサーが異なります。センサーの価格は種類により異なりますのでご参考までにお願いいたします。)

アルコール綿 100枚入り約1,000円(税抜)

採血用穿刺器具 約2,500円(税抜)

採血用穿刺器具用針 30本入り約1,000円(税抜)

センサーは調剤薬局でのみ購入できます。

その他はドラッグストアやネットショップで購入可能です。

 

 

妊娠糖尿病になった場合の血糖値コントロール目安
食前の血糖値 60~100mg/dl
食後1時間の血糖値 140mg/dl
食後2時間の血糖値 120mg/dl
HbA1c 5.8%

食後の血糖値は食べ始めた時間から計算します。

例・・・朝7:30から食べ始めた場合、食後1時間は朝8:30となり、食後2時間は朝9:30となります。

 

 

Kiki’の場合

家族に糖尿病の人は一人もいませんが、多胎妊娠の高齢妊娠で妊娠7か月の頃に妊娠糖尿病と診断されました。

定期健診の尿検査では一度も糖の値が高くなったことはありませんでしたが、血液検査で血糖値の値が少し高かったためブドウ糖負荷検査へと進みました。

空腹時と食後2時間後の血糖値は基準以内でしたが、1時間後の血糖値が基準値を超えていたため妊娠糖尿病と診断されました。

 

血糖値の値が基準値を少し超えている程度だったので、インスリンは使用せず最初は食事療法からスタートすることになりました。

病院で栄養士さんから食事の指導を受け、自宅で血糖値測定器を使用し、朝の空腹時と毎食1時間後の血糖値を測定することになりました。

妊娠8か月になる頃には食事でのコントロールが難しくなり、昼と夜の1日2回インスリンを打つことになりました。

妊娠9か月の頃には朝・昼・夜と1日3回インスリンを打つことになりました。

 

出産後すぐには血糖値が戻りませんでしたが、しばらくしてから血糖値が基準値以内に戻りました。

妊娠糖尿病になると将来糖尿病になる確率が高くなるということで、定期的な血液検査をするように言われました。

定期健診を受けている場合は、血液検査内容のHbA1cの値が基準値より超えてないか確認するように言われました。

今のところ基準値以内ですが、将来糖尿病にならないために気を付けようと思っています。

Kiki’の血糖測定値

担当医から週に2回朝の空腹時と朝昼夕食後の血糖値測定を指示されました。

その時の測定値をご紹介します。

月日 朝の空腹時 朝食後1時間 昼食後1時間 夕食後1時間 療法
2/3 71mg/dl 109mg/dl 182mg/dl 136mg/dl 食事
2/6 64mg/dl 216mg/dl 124mg/dl 67mg/dl 食事
2/10 83mg/dl 159mg/dl 154mg/dl 110mg/dl 食事
2/13 77mg/dl 135mg/dl 125mg/dl 96mg/dl 食事
2/17 65mg/dl 141mg/dl 192mg/dl 112mg/dl 食事
2/20 71mg/dl 136mg/dl 158mg/dl 49mg/dl 食事
2/24 72mg/dl 118mg/dl 158mg/dl 128mg/dl 食事
2/27 66mg/dl 111mg/dl 107mg/dl 119mg/dl 食事
3/3 54mg/dl 106mg/dl 127mg/dl 126mg/dl 食事
3/6 67mg/dl 108mg/dl 134mg/dl 131mg/dl 食事
3/10 55mg/dl 94mg/dl 108mg/dl 113mg/dl 食事
3/13 57mg/dl 106mg/dl 133mg/dl 147mg/dl 食事
3/14 インスリン投与開始 昼夕2回2単位
3/17 68mg/dl 104mg/dl 188mg/dl 111mg/dl 昼2夕2単位
3/20 53mg/dl 99mg/dl 120mg/dl 78mg/dl 昼2夕2単位
3/24 58mg/dl 82mg/dl 94mg/dl 163mg/dl 昼2夕2単位
3/27 61mg/dl 125mg/dl 115mg/dl 87mg/dl 昼2夕2単位
3/31 66mg/dl 169mg/dl 181mg/dl 86mg/dl 昼2夕2単位
4/3 65mg/dl 146mg/dl 110mmHg 121mg/dl 朝2昼2夕4単位
4/7 66mg/dl 135mg/dl 97mg/dl 102mg/dl 朝4昼2夕2単位
4/10 50mg/dl 139mg/dl 108mg/dl 90mg/dl 朝5昼2夕2単位
4/14 55mg/dl 87mg/dl 97mg/dl 81mg/dl 朝6昼2夕4単位
4/17 60mg/dl 104mg/dl 朝6 昼から計画出産の為入院

 

食事内容により血糖値の値がとても左右され、炭水化物や粉ものお餅などを主食にすると血糖値がとても高くなりました。

炭水化物をとらないと血糖値は高くなりませんでしたが、栄養指導によりバランスの良い食事をとるように言われていたので、必要量の炭水化物はとっていました。

妊娠が進むにつれ同じ食事内容でも血糖値が高くなりインスリンの量が増えるようになりました。

インスリンを打つタイミングは食事の前なので、インスリンを投与した後の血糖値の値になります。

妊娠糖尿病になり食事管理をしていたお陰か、体重が急激に増えることはなく、難しい体重管理も順調でした。