女性特有の病気の一つに卵巣嚢腫があります。卵巣嚢腫は女性の3人に1人がなると言われている病気です。
ここでは卵巣嚢腫の症状や治療法、手術や入院期間についてご紹介していきます。
卵巣嚢腫とは
卵巣にできる腫瘍の一つで、卵巣内に嚢胞(のうほう)ができます。
卵巣嚢腫の90%は良性で、20代から30代に多い病気になります。
嚢胞とは 分泌物が袋状に貯まる病態のことをいいます。
卵巣嚢腫の種類
卵巣嚢腫の種類はとても多く、大きく分けると良性腫瘍・悪性腫瘍・境界悪性腫瘍に分類されます。
主な良性腫瘍
チョコレート嚢胞(卵巣子宮内膜性嚢胞)・漿液性嚢胞腺腫・粘液性嚢胞腺腫・皮様嚢腫
(成熟嚢胞性奇形腫)になります。
チョコレート嚢胞(卵巣子宮内膜性嚢胞)
子宮内膜症により卵巣に病変ができると、出血が徐々に溜まり古い血液を含んで大きく腫れチョコレート嚢胞となります。
漿液性(しょうえきせい)嚢胞腺腫
腫瘍内に水のような粘稠度(ねんちょうど)の低い液体がたまります。
粘液性嚢胞腺腫
腫瘍内にネバネバした粘稠度の高い液体がたまります。
皮様嚢腫(成熟嚢胞性奇形腫)
腫瘍内に皮膚や毛髪、歯など他の部位の組織がたまります。
比較的若い女性に多く、若いころは癌化することはまずありませんが、高齢の場合稀に癌化することがあります。
Kiki’の場合・・・
卵巣が腫れているので卵巣嚢腫かもしれないと言われたときは、まだ嚢胞が小さくどのタイプの嚢腫かは分かりませんでした。
先生から卵巣嚢腫の種類について説明があり、経過観察をしていくうちに卵巣の腫れが大きくなっていき、皮様嚢腫だろうと言われました。
確定診断は術後切除した嚢腫を見ないとできないという説明があり、術後の結果で皮様嚢腫ということが分かりました。
症状
卵巣嚢腫は一定の大きさになるまでは無症状のことが多く、腫瘍が大きくなってくると腹部の膨満感や圧迫感がでてくることがあります。
Kiki’の場合・・・
腫瘍が小さい頃も大きくなってからも特に症状はありませんでした。不正出血もなく、痛みも特に感じませんでした。
発見方法
定期検診・健康診断・妊娠時など
無症状のことが多いので自分で気づくことは難しく、検診や健康診断、妊娠時に発見されることが多いそうです。
腫瘍が大きくなるとお腹が腫れることもありますが、太っただけだと思い気にされない方が多いそうです。
Kiki’の場合・・・
妊活中に卵巣嚢腫かもしれないと言われました。
その後悔過観察を続けて卵巣嚢腫だということが分かったので、定期的に検診をしていないと発見するのは難しい病気なんだなと思いました。
診断方法
内診・超音波検査・血液検査でをし、MRIやCTで腫瘍内部を観察し、腫瘍の種類や良性・悪性の診断を行います。
Kiki’の場合・・・
卵巣嚢腫が手術する段階になりMRI検査をしました。
MRI検査では、卵巣の状況によって造影剤を使用し、より詳しい画像を撮ることになるかもしれないいう説明もありました。実際MRIで撮影をした後、より詳しい画像が必要になり造影剤を使って再度撮影をしました。
画像診断では、皮様嚢腫で間違いないと思うが、最終的な診断は術後の摘出物の検査になると説明され、術後の検査で皮様嚢腫と診断されました。
治療法
卵巣嚢腫の治療には投薬などはなく、経過観察か手術の2択になります。
経過観察
6㎝以下の嚢腫の場合、内部に異常が認められなければ経過観察になります。
経過観察の場合は、定期的に受診し嚢腫の変化や大きさを確認します。
Kiki’の場合・・・
最初に卵巣の腫れを指摘された時は様子見でした。卵巣は排卵期などで腫れているように見えることがあるそうです。
定期的に卵巣の状態を確認していく中で、腫れが約3.5cmと大きくなったところで、卵巣嚢腫かもしてないと言われ経過観察になりました。
手術
嚢腫の大きさが7cmを越えると手術になります。
Kiki’の場合・・・
卵巣嚢腫かもしれないと言われてからずっと経過観察をしてきましたが、徐々に腫れが大きくなり半年後には約6cm、7か月の頃には7cm以上になり手術の説明がありました。
手術方法
卵巣嚢腫摘出術・卵巣摘出術・付属器摘出術があります。
卵巣嚢腫摘出術
卵巣腫瘍の腫瘍部分だけを取り除き、正常部分を残す手術になります。
卵巣摘出術
卵巣腫瘍を卵巣ごと摘出する手術になります。
付属器摘出術
卵巣腫瘍を卵巣と卵管ごと摘出する手術になります。
Kiki’の場合・・・
執刀医から手術方法について説明があり、Kiki’の場合は今後の妊娠の可能性を考え、卵巣嚢腫摘出術で手術をすることを説明されました。実際見て、状況により卵巣摘出術へ切り替えることになるかもしれない旨も説明されました。
実際手術を受けた後、嚢腫が思っていた以上に大きくなっていたそうですが、少しだけ卵巣を残すことができたとのこと。でも、卵巣として機能するようになるかどうかは分からないと説明がありました。
術式
卵巣嚢腫の術式には、開腹手術と腹腔鏡下手術があり全身麻酔で行われます。
開腹手術とは
腹部を切開して手術する方法になります。通常お臍の辺りから下に向かって縦に10~15cm程切開します。
腹腔鏡下手術とは
お腹に器具を入れる為の穴を3,4か所、0.5~2㎝位の大きさの穴を開けます。その穴から器具を入れて手術する方法になります。
Kiki’の場合・・・
Kiki’は腹腔鏡での手術が希望で、紹介してもらった病院は腹腔鏡下手術の名医がいる病院だったので、その先生にお願いしました。
ほとんどの卵巣嚢腫は腹腔鏡での手術が可能ということで、Kiki’も腹腔鏡下手術になりましたが、手術の時に腹腔鏡では難しいと判断した場合は、開腹に切り替えることもあるという説明もありました。器具の穴は最初はお臍含め3か所だったのですが、かなり腫瘍が大きくなっていたので1か所追加され4か所になりました。
入院日数
開腹手術 平均9日間
腹腔鏡下手術 平均5日間
開腹も腹腔鏡下手術も、手術日前日から入院し、翌日が手術日になります。
開腹手術の場合は術後7~8日後退院、腹腔鏡下手術の場合は術後3~4日後退院になります。
Kiki’の場合・・・
腹腔鏡下手術をしたので、その時の入院・手術スケジュールです。
入院日数 | スケジュール | 詳細 |
入院1日目 | 午後から入院 | 入院手続きをして、病棟へ行き、体重を計って病室へ案内されました。
手術までの流れと手術のスケジュールや注意事項などの説明がありました。夕食は病院食を食べ、夜9時以降から食事制限になりました。 |
入院2日目 | 手術準備(下剤と浣腸・点滴など)
手術 |
手術前に下剤と浣腸をしました。今はしない病院も多いそうです。
手術着に着替え、点滴の準備と着圧ソックスを履き手術前の準備をして、ストレッチャーに乗って手術室へ行きました。 手術室に入ってから、執刀医や助手、麻酔医などの紹介があり麻酔が始まりました。麻酔が始まり少ししたら意識がなくなり、声かけられて起きたら手術が終わっていました。 手術は全身麻酔で行われ、2,3時間で終わりました。 声を掛けられた後、物凄い寒気に襲われました。ストレッチャーで病室へ戻り、ベッドへ運ばれましたが、意識は朦朧としている状態で話しかけられた記憶がありませんでした。酸素呼吸器と点滴、尿カテーテルをしている状態です。 寒気はずっと続き、電気毛布を掛けてもらっていました。発熱もあり、定期的に看護師さんが来て動脈を冷やし体温調節をしていました。熱は翌朝下がりました。 |
入院3日目 | 尿カテーテルを外す。
食事開始。 |
酸素呼吸が外れ、尿カテーテルを外しました。尿カテーテルが外れたので、自力でトイレに行くことができるようになりました。
食事は5分がゆかだったと思います。 痛みには個人差がありますが、点滴に鎮痛剤も入っていたからか、痛みはあまり感じなかったです。 シャワーにはまだ入れなかったので、タオルで体を拭き、髪の毛は看護師さんが洗ってくれました。 |
入院4日目 | 点滴が外れる
手術時の内容説明と診察 |
点滴が外れシャワーを浴びることができました。 |
入院5日目 | 日曜日のため退院手続きができず1泊 | 本来なら退院する日ですが、日曜の為退院できませんでした。 |
入院6日目 | 午前中に退院 | 午前中に退院手続きと支払いをして無事退院できました。 |
記憶が定かではないのでざっくりとした情報になってしまいますが、ご参考までに・・・。
手術費用
約40~80万円
手術の種類により費用は異なりますが、健康保険が適用されるので3割負担になります。
高額療養費制度とは
1か月(同じ月の1日から末日)に支払う医療費が自己負担限度額を超えた場合、超えた分が払い戻される制度になります。自己負担限度額は年齢や所得によって異なります。
9月15日から5日間入院。
年齢35歳
世帯年収500万円
手術費・入院費合わせた総額が100万円の場合
健康保険適用分が70万円、自己負担額が30万になります。
年収500万円だと自己負担限度額が80,100+(100万円-267,000円)×1%の計算になるので、87,430円が限度額になります。
自己負担額30万円から自己負担限度額の87,430円を引いた212,570円が払い戻されます。
実際の自己負担額は87,430円ということになります。
※食事代やベッド差額代などは含みません。
Kiki’の場合・・・
事前に加入している健康保険組合に高額療養費制度の利用申請をしました。一度3割負担で支払った後から申請することもできますが、病院側で保険会社と直接支払いのやりとりができるという話を聞いたので、入院前に手続きを済ませたほうが後が楽かなと思い、事前申請にしました。退院後ゆっくり過ごすことができたので、事前申請が可能であれば事前申請がおすすめです。
Kiki’の卵巣嚢腫発覚から手術までの流れ(まとめ)
卵巣の腫れを確認→様子見
卵巣の腫れを確認してから数か月→卵巣の腫れ約3.5cm、卵巣嚢腫の疑い、経過観察
経過観察から半年→卵巣の腫れ約6cm、引き続き経過観察
経過観察から7か月頃→卵巣の腫れ7cmを越え、手術勧められMRIを撮影
経過観察から8か月頃→病院を紹介してもらい手術先で診察、卵巣の腫れ約10cm
経過観察から9か月頃→手術前検査(血液検査、内診、薬剤師との問診と説明、手術の説明)
経過観察から10か月頃→腹腔鏡にて手術、入院期間6日間
術後2か月頃→術後の経過観察のため診察
Kiki’は卵巣の腫れを確認してから約1年で手術するまでに至ったので、腫れを確認したら数か月~半年後位に一度腫れの状態を確認するために検診をおすすめします。
検診の際、卵巣嚢腫の疑いや経過観察が必要になれば、その都度医師の指示に従って診察を受けてください。
女性特有の病気は症状に気づかないことが多いので、定期的に検診を受けることが大切になります。
各自治体で行っている2年に1度の頸がん検診や健康診断で行っている頸がん検診では内診や超音波検査もするので、その時に卵巣の大きさを診てもらうといいと思います。